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テスト結果を見ながら子どもたちと話をしていると、算数のミスで一番多いのがケアレスミスです。
先日も計算テストの結果を見ながらケアレスミスについて子どもたちと話をしていました。
一生懸命、勉強している、問題もたくさん解いている、けれども成績が上がらない、なかなか偏差値を上げられない子が、算数の偏差値を3つ上げるために1番にするべきことは、ケアレスミスを減らすことです。
ケアレスミスと言っても、答えの書き間違い、問題文の読み落としなど、様々なミスがあげられますが、
その中でも一番に減らしたいのは計算ミスです。そこで、今回は計算ミスを減らすためにどんなことをすればよいのかについて見ていきたいと思います。
計算ミスの分析をして対策を考える
計算ミスの分析をして自分の計算ミスの傾向を知る
テストのふり返りをした子どもにどんなミスがあったのかを聞いてみると、「計算ミスだった!」という一言で終わってしまう子がいます。
どんな風にミスをしていたのかまでふり返ることができていない場合が多く、このようなタイプはいつまで経っても計算ミスを減らすことができません。
よく見られる計算ミスの傾向としては、ひき算のときに計算ミスをする・約分を忘れる・小数点の位置を間違える、などです。
計算ミスの分析を続けていくと同じひき算のミスでも、“6が出てくる繰り下がりの計算でミスが多い”というような自分のクセを見つけることができます。
ここまで分析できれば、計算練習をするときに自分で意識して計算をすることができ、計算ミスを減らすことができます。
基本的な計算力が身に付いているかを確認する
計算ミスの分析をしていると、そもそも計算の順序やルールが身についていない、計算の工夫や覚えておきたい計算が覚えられていないということが分かることもあります。
例えば、計算力の弱い子は下記のような問題で、2.6と3.9が1.3の倍数であることを見つけることができず、左から順に計算をして時間をロスし、さらには小数の計算をする回数が増えることで、計算ミスに繋がっています。
『2.6×5+1.3×0.5+1.5×3.9』=1.3×3×5+1.3×0.5+1.3×3×1.5
=1.3×(3×5+0.5+3×1.5)
=1.3×20
=26
また、よく出てくる計算は覚えておきたいものです。
計算が苦手な子、計算ミスが減らない子の計算練習の取り組み方の特徴2つ
週末にまとめて計算練習をしている
家庭学習になっているからやっている、計算なんてめんどくさい、だからやっつけ仕事のように週末や時間があるときにまとめて取り組んでいる。このようなタイプの子は、なかなか計算ミスが減りません。
計算は毎日コツコツ取り組むことで、数に対する感覚を養うことができ、スピードが格段に速くなります。私は時々、子ども達と一緒に100マス計算をするのですが、毎日100マス計算をしていたときには、全部解き終わるのに60秒を切っていました。しかし、しばらく間が空いて、久々にチャレンジしてみると90秒という結果になりました。この時、私は結構ショックを受けたのですが、継続は力なりで、毎日取り組むことによって計算力が維持されているのだなということを、改めて実感しました。ですから、3~5問でいいので毎日、計算練習をして計算力を維持するようにしましょう。
毎日、時間をかけて難しい計算の練習をしている
毎日取り組んでいるけれど計算ミスが減らない、計算練習に30分もかかるという場合は、本人の計算力に合っていない、難しい計算問題を練習していることがほとんどです。
この場合、たった10問であっても、全て正解するまでに30分、子どもの集中力や問題の難しさによっては1時間かかることもあります。他の科目も勉強しければいけないのに、計算練習だけに毎日こんなに時間を取られていては、何のための計算練習かわかりません。明らかに時間のかけ過ぎです。
大人の私でも「計算問題ばかり30分も練習するのは嫌だなぁ」と思うのですから、子どもならなおさら、そう思うのではないでしょうか。そう考えると、子どもの集中力が途切れて、ダラダラと時間がかかってしまうのも無理はありません。計算練習にかける時間は、やり直しも含めて15分程度を目安にするとよいでしょう。
計算ミスを減らすための練習方法
数に対しての感覚を身に付ける
計算ミスが多い子は、基本的な計算力が身についていないのと同時に、数に対しての感覚を持っていないことが多いので、難しい問題よりも簡単な計算を練習するようにしましょう。
この場合の“数に対しての感覚”とは、“一の位に1が出てくるのは7×3と9×9”というようなものです。簡単な計算を練習することで、このような数に対する感覚が身に付き、早く正確に計算ができるようになります。
ご家庭で九九を利用して「一の位に3が出てくるかけ算はなんでしょう?!」「7×9と1×3!」というように、隙間時間を利用してクイズ形式で取組んでみてください。また、家族や兄弟姉妹で、誰が一番早く答えられるかなど、競争を取り入れると、意外と大人の方が思いつかないこともあり、その様子を見て子どもが盛り上がって、家族で楽しく取り組むことができます。
基本的な計算問題を練習する
数に対しての感覚を身に付けること以外にも、四則混合計算で計算の順序を間違えないように練習することや、小数点の位置を間違えないように習慣化すること、分数の約分を練習することなどの基本的な計算を練習することで、計算ミスは減っていきます。
例えば、5年生になっても『123÷3』『123×3』というような計算が暗算でできない場合は『12×3』などの簡単なものから始めてみると良いでしょう。今はインターネットで無料配布されているものも多いので、ご家庭でも気軽に始められと思います。また、下図のような計算もオススメです。
以前、上のような計算問題を毎日欠かさず1問、時間を計って取り組んでいた子が3ヶ月で驚くほど計算ミスが減りました。最初は左側の足し算の問題を解くのに3分以上かかっていましたが、3ヶ月後には30秒くらいで解けるようになりました。このことは本人の自信にも繋がり、以前よりも算数に対して意欲的に取り組むようになりました。
タイムトライアルでスピードアップを目指す
計算が苦手な子に私がよくお勧めしているのは100マス計算です。これなら計算も簡単なうえに、長くても5分くらいで終わることができます。計算が苦手、嫌いという子にとって、この手軽さは毎日続けるために、なによりも必要なことです。
タイムトライアルをするときは、できれば、お父さん・お母さんも一緒にチャレンジをして欲しいなと思います。家族でタイムトライアルをすればちょっとしたゲーム感覚で取組むことができ、楽しみながら続けることができます。
さらに、お父さん・お母さんは時々サボってください。そして、お子さんのタイムが少しずつ早くなっていることを一緒に確認して、毎日やるのと時々サボるのでは、タイムが変わってくるということをお子さんに伝えましょう。タイムは折れ線グラフにして目で見て結果を確認できるようにしておくと、続けることの効果を実感しやすくなります。
計算ミスばかりに注目せず、正答率に目を向けることを忘れない
正答率を上げることは成績アップに繋がる
ここまで、計算ミスを減らす方法についてお伝えしてきましたが、最後に、計算テストをするときに、私が子どもたちに話していることについてお伝えします。
私が子どもたちに話していること、それは正答率を意識するということです。子どもたちの中には、問題を全部解くということや、1番から解くということに意識が集中してしまう子がいます。一生懸命早く解いても、ケアレスミスを多発して点数を落としてしまったりては元も子もありません。
例えば1問5点の計算問題を10問解いて5問正解した時と、7問解いて7問正解の時では点数は7問正解の方が明らかに高いのです。ですから、1問でも多く正解するということを意識して、絶対に解ける問題や、簡単だと思う問題、解きやすい問題から解き始める習慣をつけさせる必要があります。
子どもが、普段の計算練習でもこれを意識できるように、どの問題から解けばいいのかをどのように判断するのか、計算練習をする時に確認するようにしてみてください。
確実に点を取るために問題を見分けることは他の科目の成績を上げる事にも繋がっている
練習を重ねれば、自分が解ける問題や難しいなと思う問題の判断を、子どもが自分でできるようになっていきます。これは計算問題だけではなく、他の科目も含めたテストでも、確実に点を取るという意識を育てることに繋がります。
自分が解ける問題を確実に正解することができるようになると、成績は自ずと上がり、しかも安定した成績が取れるようになります。
そのためにまずは、ご家庭でお子さんができたことや、できるようになったことを認めたり、できないことがあれば、どうすればできるようになるのかを一緒に考えるようにしてあげてください。
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